模倣

昔は
 日本企業は模倣が上手い
と言われた
今は
 中国企業は模倣が上手い
と言われる

なにかが変わったように見えるけれど
国の名前が変わっただけで
実はなんにも変わっていない
模倣する側が強くなり
模倣される側が弱くなる

トヨタは Ford の真似をして
富士通が IBM を模倣したように
美団点評は Groupon の真似をして
校内網が Facebook を模倣する

もしも模倣が簡単ならば
みんなとっくにしているはずだけど
SNS でテキストをコピーするのと違って
じつは模倣は大変で
そんな簡単にできるわけではない

模倣して成功するのは至難の業で
製品の模倣だけではダメだとばかり
プロセスや考え方まで模倣して
やっと成功しても賞賛はなく非難ばかり

模倣は確かにズルいけれど
模倣なしで成長した企業はひとつもない
修破離の修が 模倣から始まるように
どんな事も 真似や模倣が基本になる

真似や模倣という基本の上に
情報収集 と 分析 と 意思決定 と 資源の投入 と
そして タイミング と 運 とがあって
やっと 模倣が成功する
ただ模倣したものを量産しただけでは
オリジナルに比べて劣ったままで終わる

ジェネリック医薬品のように
先発医薬品と有効成分を同じにするという
ただそれだけの模倣をしていたら
いつまでも先発医薬品には追い付けず
追い越す日が来ることはない

模倣が成功したその日から
模倣した側は模倣される側にまわる
その循環で製品が良くなり
付随したサービスも向上する

模倣をするにも覚悟が必要で
オリジナルへの尊敬と尊重も必要で
模倣されることへの準備も必要で
だから模倣も大変なのだ

模倣は模倣でしかない
模倣は越えなければ意味がない
模倣の殻を破った先にあるものは
きっと 素晴らしいに違いない

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